ニーマン・ピック病C型とは

niemann-pick disease type c

東京慈恵会医科大学小児科
 井田博幸

ニーマンピック病C型患者家族のホームページ開設によせて

 ニーマンピック病は脂質代謝異常症の一つです。これに属する疾患にはゴーシェ病、ファブリ病、クラッベ病、異染性白質変性症、テイサックス病などがあります。これらの疾患ではその蓄積物質・生化学的異常の解明は1970年代に行われ、遺伝子についてはその多くが1990年代に単離・同定されました。ニーマンピック病C型については1984年にコレステロールのエステル化異常が生化学的に同定されました。そして、1997年にようやくNPC1遺伝子が、2000年にNPC2(HE1)遺伝子が本症の病因遺伝子として同定されました。

 ゴーシェ病とファブリ病においては生化学的異常及び遺伝子の同定は酵素補充療法という画期的な治療法の開発に結びつき、現在に至っています。私が大学を卒業したのが1981年であり、研究歴としては27年となります。研究の前半は生化学的異常・遺伝子変異の同定が主な仕事でしたが、1996年に日本でゴーシェ病に対して、酵素療法が導入されてから、どのようにして患者さんに良いQOLをもたらすことができるかという研究に従事してきました。この過程で患者さんの声が医師の研究を後押しすることを学びました。また、新薬の開発には医師の研究も重要ですが、患者さんの協力そして患者さんの“病気を治したい”という情熱が厚生労働省、製薬メーカーを動かすことも経験してきました。この意味で患者同士のネットワークそして患者さんと医師との相互関係の構築が極めて重要だと思います。

 現在、ニーマンピック病C型には根治療法は存在しませんが、ミグルスタットやシクロデキストリンなどの新しい治療法も開発されてきました。このホームページの開設により患者さん同士のネットワークが形成され、多くの医師がニーマンピック病C型の診断・治療に興味をもち、本症の患者さんにより良い医療が構築されることを願っております。