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活動状況

2011.2.19新聞報道

病気の子どもと――生きる活力、ホスピスから

斜面に立つ屋敷のテラスからは、冬枯れの木々の向こうに光る相模湾が見えた。
神奈川県大磯町で整備が進む「子どものホスピス『海のみえる森』」は、来年のオープンを前に、試行的に宿泊者を受け入れている。
千葉県松戸市の会社員水沢実さん(44)は一家4人で昨年12月に泊まった。当初はホスピスという言葉に抵抗を感じた。が、末期のがん患者が主な対象の大人のホスピスと違い、子どもには楽しい体験を、介助者には休息を提供する施設と知り、「お世話になってみよう」と思い直した。
娘の理子(りこ)ちゃん(8)は「ニーマン・ピック病C型」という代謝異常の難病を患う。2歳半で診断され、歩く、食べる、呼吸するなどの機能が衰えた。胃ろうや気管切開の手術を受け、今は人工呼吸器を付けて自宅のベッドで過ごす。妻の直美さん(39)が付きっきりで、たんの吸引などの介護をしている。
容体は常に急変のリスクがある。水沢さんは息子の優斗君(10)を交えた家族4人で遠出する旅は無理だと思っていた。だが今回は、この施設の整備にも関わっている主治医の前田浩利医師や看護師が同行してくれるという。安心感に背中を押された。
車で大磯に着くと20人以上のボランティアが迎えてくれ、みんなで浜辺へでかけた。
理子ちゃんをボランティアが見てくれる間に、優斗君は両親を独り占めにしてテニスやサイクリングを満喫。敷地内の木の上に作られた小屋で地元の子どもたちと存分に遊んだ。夜、水沢さんは前田医師やボランティアの人々とビールを味わい、話が尽きずに夜がふけた。
「理子は、ずっと家の天井を見て過ごす毎日とは違う刺激を受けたはず。僕らも優斗も、本当に久しぶりに思い切り遊べました。次は、暖かい季節にゆったりと2泊ほどできればありがたい」と話す。
広報から資金集めまで、この施設作りの実務を担うのは甲斐裕美さん(42)。学校などで命の尊さを語る活動をするなかで、重い病気や障害を持つ子どもと家族へのケアが足りないと感じていた。亡き義父が愛した屋敷と林を意義ある場として再生させたいとも思っていた。ちょうど、志が一致する医療者と出会い、この施設を作ろうと決めた。
住民向けの説明会をきっかけに、ボランティア希望者が増えてきた。寄付を募り、古い屋敷の改築も進めている。つかの間だとしても、大変な状況の子どもとその家族に、安心してくつろいでほしいと思っている。
(朝日新聞Webサイトasahi.comより)

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