リピドーシス(スフィンゴリピドーシス)について
リピドーシスとは?
遺伝子の異常によってうまく代謝する事ができず、脂質(lipid)が異常蓄積(osis)する病気の総称で、そのうちスフィンゴリピドーシスはスフィンゴミエリンという脂質がたまる疾患です。(リピドーシスの中で、ほとんどのものがスフィンゴリピドーシスです)
体内の各種の細胞膜には、スフィンゴミエリンなど数種類の脂質が含まれていて、これらの脂質はライソゾーム内の酵素によって分解され、蛋白質で作られた小胞により各細胞内や細胞膜へ運ばれます。
例えば、寿命を終えた赤血球は脾で分解されますが、その際赤血球膜の主なスフィンゴ脂質はライソゾーム内にある数種類の酵素で分解されます。
これらの酵素の先天的な障害症では、各種の脂質が臓器や神経細胞に蓄積され、いろいろな症状が出てくると考えられています。
一部の疾患に対しては、足りない酵素を補充する方法(酵素補充療法)などが試されていて効果をあげていますが、ほとんどの疾患では治療法がなく対処療法に限られています。スフィンゴリピドーシスの中では、欠損酵素や蓄積する脂質の種類によって疾患名が分類されます。
蓄積物質によるスフィンゴリピドーシスの分類
疾患名 | 蓄積物質 | 欠損酵素 | |
GM1ガングリオシドーシス | ・型 | GM1ガングリオシド | β-ガラクトシダーゼ |
・型 | |||
GM2ガングリオシドーシス | テイ・サックス病 | GM2ガングリオシド | β-ヘキソサミニターゼA |
サンドホフ病 | GM2ガングリオシド | β-ヘキソサミニターゼA&B | |
異染性白質ジストロフィー(MLD) | スルファチド | α-ガラクトシダーゼ | |
Fabry病 | セラミドトリヘキソシド | α-ガラクトシダーゼ | |
Farber病 | セラミダーゼ | セラミド | |
Gaucher病 | ・・・・・型 | グルコセレブロシド | β-グルコシダーゼ |
Niemann-Pick病 | A・B型 | スフィンゴミエリン コレステロール |
スフィンゴミエリナーゼ |
C型 | スフィンゴミエリン コレステロール |
- | |
Krabbe病 | ガラクトセレブロシド | ガラクトセレブロシダーゼ |
ニーマンピック病C型は蛋白質の異常によってライソゾーム内に脂質(コレステロール、スフィンゴミエリン、糖脂質)が蓄積するので、リピドーシス(スフィンゴリピドーシス)に属します